ぬか

ぬか
I
ぬか
(終助)
〔上代語〕
動詞の未然形に付いて, 願望の意を表す。 …てくれないかなあ。 …てほしいなあ。

「我妹子ははやも来~と待つらむを沖にや住まむ家付かずして/万葉 3645」「この見ゆる雲ほびこりてとの曇り雨も降ら~心足らひに/万葉 4123」

〔本来は, 上代における打ち消しの助動詞「ぬ」に係助詞「か」の付いた語とみられるが, 「ぬ」にはすでに打ち消しの意が薄れて, 「ぬか」で願望の意を表す助詞化したものとされる〕
II
ぬか
(連語)
〔打ち消しの助動詞「ず」の連体形「ぬ」に疑問の係助詞「か」の付いたもの〕
打ち消しの意を込めた疑問の意を表す。 …ないのか。

「今は来じと思ふものから忘れつつ待たるることのまだもやま~/古今(恋五)」「親の顔はゆかしきものとこそ聞け。 さもおぼされ~/源氏(玉鬘)」

III
ぬか【糠】
(1)玄米を精白する際, 搗(ツ)かれて取れる種皮や胚芽の粉末。 脂肪・タンパク質・ビタミン B1 に富む。 糠油を採取したり, 肥料や家畜の飼料, 漬物に用いる。 こぬか。 こめぬか。
(2)「糠味噌(ヌカミソ)」の略。
(3)もみがら。 [和漢三才図会]
(4)接頭語的に用いて, その状態・性質が, こまかい・はかない・頼りない・役に立たない, などであることを表す。

「~喜び」「~雨」「~働き」

~に釘(クギ)
柔らかい糠に釘を打つように, 手応えがない, ききめがない。 豆腐にかすがい。 のれんに腕押し。
~を舐(ネブ)りて米に及ぶ
〔史記(呉王濞伝)〕
糠をなめ尽くして, 米にまで手をつける。 次第に被害が広がるたとえ。
IV
ぬか【額】
(1)ひたい。

「一よりとよみて~をつく/紫式部日記」

(2)ぬかずくこと。 額を地に付けてする礼拝。

「あかつきの~など, いみじうあはれなり/枕草子 119」

~を突・く
ひたいを地や床につけるようにしてお辞儀や礼拝をする。 ぬかずく。 叩頭(コウトウ)する。

「僧都の君, いみじうぬかをさへつきて/枕草子 136」


Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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